2011-01-25

TPPについて考える

相互の関税を撤廃する協定・TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への加盟がいつの間にか政権の最重要課題のひとつとして、喧伝されています。

私のまわりのオーガニック、自然食品関係者の間では「日本農業の危機」として急速に不安が広がっているようです。

この協定は、「環太平洋」とはいえ、加盟予定国全体のGDPシェアの90%は日本と米国となっています。中国・韓国は加盟しません。

実質、日米間の関税撤廃協定といっていいわけです。

農産物についていうと、、、米国の巨大農業資本が、弱小農業国・日本を蹂躙するための戦略であることは明白です。

個人的な体験もふまえていうならば、たとえば、おいしさでは日本米と遜色ないカリフォルニア米が10分の1で国内市場で販売されたら、普及品も、ブランド品(コシヒカリ、はえぬき・どまんなか、つやひめ、、、、)もまあほどんど勝ち目はないのではないか。

収入激減が想定されている農家には補助金がでるので、大丈夫、と現政権ではいっているが、一度疲弊した産業の復興は困難である。その助成金も海外向けに出荷可能で外貨を稼いでくれる超高級ブランド農産物・水産品が中心になっていくに違いない。そのような国際競争力のある一定規模以上の農業資本への助成金が中心にならざるを得ないのではないか。有機や自然農法などの小規模な農家はどうなるのか。

日本農業が壊滅したところで、当然、米国からの農産物は値上がり、、、、。食料安全保障上もゆゆしき事態を招くことは確実です。

(そのときには、時代の産物としての、生きるための家庭菜園ブームが到来するでしょうけれど、、、)

対米従属を続けることは、大局的にいって、経済的にも、精神的にも、文化的にもデメリットが大きい。

鳩山政権では日米同盟に対する物言いの姿勢が少しでもあったけれど(ま、失敗したことはしたのですが、)、菅政権は情けないほど米国の顔色伺いに徹している。

「平成の開国」などといっているが、国是として保護したい一部の農産物以外では、すでに日本の関税障壁は相当低くなっています。

単純に、鎖国=悪、開国=善 が前提になっているのもいただけません。

農産物を含めた全面的な自由貿易への参入は、品種改良などの技術面では世界有数ながら規模や効率面では見劣りのする日本農業の基礎をしっかり固める必要があります。

それが、非遺伝子組み換えやオーガニックなどの安全性や圧倒的品質・食味などの超高付加価値化なのか、SBIの北尾社長の語る北海道での大規模農園の開設による高効率化なのか、、、、いzれにしてもすぐにできることではない。

拙速すぎる決断は経済的のみならず、安全保障上、文化的、、、、多方面にわたる多大なマイナスを日本に、日本国民に与えることになります。

中野剛志さん、という学者のTPPについての見解がとても参考になります。おすすめです。
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/01/tpp_5.html